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安良里廻航

令和6年3月21日(木曜)~3月22日(金曜)

3月21日 10:30 横浜市民ヨットハーバー 出港     21日天気図

 この廻航、市民ハーバーと安良里の係留契約からして3月末迄に廻航を済ませる必要があったが、春先の神子元島海域を通過するのがどう考えても夜間になることから、静穏時の通過は無理にしても、時化だけは避けたいと考えていた。神子元島の夜間通過を避ける方法として、三浦三崎か下田、はたまた伊東辺りに寄ってという考え方も出来るが、それだけは避けたかった。一番の理由は私の矜持によるもの..   

 春先、海上保安庁からの「気象警報・注意報」が頻繁に出されるのは当たり前で、昨日も「海上暴風警報」も出ていたが、天気図の通り昨日日本列島を通過した低気圧が、東の海上で発達し、勢力を増している。他の時期で、且つ日程的に余裕があれば、廻航は避けていたが、この時期であれば今日出るしかないと考えた。神子元島海域でちょうど天候も安定するだろうとの願望に基づいての予測でもあるのだが..

 横浜を南下し、劒崎辺りまでは北寄りの風を強く受け、海面をうさぎが飛び跳ねていたが、考えていた通り低気圧も遠ざかり、城ヶ島南西ブイ辺りで一度風が落ち、その後、東寄りの風は日没まで暫くは吹いたが、安定はせずに恐らく振れ回ると想像できた。

 日没後、東寄りの風が北よりの冷たく重く強い風に変わる。今までドジャーで遮られていた風が、直接身体に当たるようになり、睡眠不足の身には結構堪える。この冬も
ジョギングを続けてきたが、最近はジョギングから戻ると低体温症の様な状態になることもあり、寒さに弱くなった事は否めない。

 オイルスキンの下に重ね着をし、デッキでシュラフ2枚に包まってもまだ寒く、急速に体力が消耗しているのが分かる。このような状態になるとピッチングやローリングも相まって船酔いが起こる。もともといつもそうだがクルージングの初期には必ず起こる身体の叫びだが、今回も内容物が空になり、血は出ないまでも黄色い胃液を夜間中吐き続けた。私が酔いにそれほど強くないことは過去に記載した 船酔いとヨット のとおりである。
 
 いよいよ未明の 神子元島海域 である。もともと北西太平洋に位置する日本列島は南西方面から北東方面に向け、爆弾低気圧や台風なども頻繁に通過するまぁ言ってみれば低気圧の花道であり、行き着く果ては低気圧の墓場と言われているアリューシャン列島である。世界的にも厳しい海、尚且つ伊豆諸島が日本でも一番荒天日数が多い海域であり、その中でも神子元島は難所として象徴的な島である。

 やはりというか簡単にはこの海域を通過はさせてくれない。未明に北よりの風が北西にシフトし、神子元島周辺の潮流も複雑に絡み、波高が高くなり、ピッチングとローリングが増す。波に打付けられておじぎを繰り返すだけで艇速にブレーキが掛かる。寒さも相まってやはり春先の当該海域の厳しさを肌身をもって痛感した次第である。

 日が昇り、神子元島の南を通過後、波勝崎 から 安良里 を目指す。

3月22日 13:30 安良里入港  Youtube投稿ビデオ   22日天気図