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2022/9/18 |
台風14号 |
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台風第14号(ナンマドル)は、一昨日の17日に中心気圧が910hpまでに下がり、猛烈な台風となる。本日の06時時点で屋久島の南まで北上し、若干勢力は925hpに落ちたものの大型で非常に強い台風で、かつてない勢力を保ったまま九州に上陸しそうである。
その大隅諸島の屋久島だが、帆船に乗っていたころだけでもこの海域は十数回通過しいるが、いつも時化気味で難儀した海域であると記憶する。何時だったか夜間ビルジポンプが故障し、時化で溜まりだしたビルジが排出出来ずに、クルー総がかりでバケツで汲みだしたと記憶にも残る。
1936mの宮之浦岳の存在で、屋久島は亜熱帯から亜寒帯までの気候が存在する島と言われているが、黒潮本流が南西から北東に流れている影響も相まってと思うが.. 宮之浦岳の山頂はいつも雲に覆われていて曇天且つ時化気味で、私にとっては不気味な海域である。その海域が今、14mの三角波と50mいや70mもの風が吹いていると思うと..
「今、横浜はちょうど雷鳴が轟いている」が、クワバラクワバラ.. といったところである。 アァ、恐ろしい~
先ほど9:45分に油壷湾への漁船の避難状況を確認してみた。漁師さん達も今度は本気かな..
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2022/9/1 |
台風11号 |
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台風第11号(ヒンナムノー)は、日本列島に大きな被害をもたらしたここ数年の幾つかの台風と同じように勢力を保ち、日本列島を直撃または近づきそうで、昨日、ジブファーラーを降ろしたり、係留索や燐船との間隔等..
をチェックしに船に行った。
本日の12時の時点で、中心気圧 920 hPa・中心付近の最大風速 55 m/s (105 kt)・最大瞬間風速 75 m/s (150 kt)で、猛烈な台風である。気象庁によると明日位がこの台風のピークらしい。その後、停滞から進行方向を北に転じ、かなりのスピードで日本列島を縦断しそうである。(台風のスピードが上がると、台風の風に移動速度も加わって、さらに風が強まる)
日本海方面を抜けて行けば、このハーバーは、東→南→西寄りへと時計回りに風は変化する。もし、列島の南岸をなめるようにこの地の南を中心が通れば、東→北→西へと反時計回りに変化する。何処を通ろうが、中心が通過してもらいたくないし、台風の右範囲に入ってもらいたくもない。ちょうど小潮の時期に当たり、その辺は幸いであるのだが..
被害が無いことを願うばかりである。
油壷は小型漁船の避難港であるが、恐らく週末には小型漁船で海面が埋め尽くされる事になると思う。
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ご参考まで→ |
https://www.misakimarine.com/sailing_condition/ |
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2022.9.7日追記 6日の12時の台風
この台風の顛末だが、九州北部と韓国南部には大きな被害をもたらせた様だが、当該地ではほとんど被害らしいものも無く何よりであった。但し、進路が少し南寄りにずれれば当該地も無事では無かったとは思う。
今回、我が船を係留しているハーバーも特に台風養生はせず、また、油壷にも小型漁船の避難も少なかった様である。それは、気象庁が早くから予想していた進路をかなりの方が信じていることの裏付けとなるだろうが、天気予報の確率の高さには感心する部分はあるものの最悪の事態を想定した台風対策はすべきであると私は考えている。
今日の時点でまだ熱低だが次の台風がフィリピン海で発生しそうである。11号と同様に被害が少なければ良いのだが.. ただ台風がこようがこまいがヨットマンの方はもともと無関心なのであるが。 |
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2022/8/24 |
真贋 |
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私は、小林秀雄が好きで読んでいるが、その文章は難解で、私如きには理解し難く、所謂小林の文章が分かるか分からないかと問われれば分からないのであるが、何故だか読み返している。
彼は、戦後の一時期文章を書かずに古美術の取引で生計を立てていた時の「真贋」というエッセイを残している。そこには、良寛の"贋作"の詩軸を俗物からつかまされたときのエピソードが出てくるが、"贋作"と分かった瞬間、ちょうど傍らに"一文字助光の名刀"があったので、縦横十文字にバラバラにして了ったのです。
彼がどういった心境だったか私なりに考えてみると、彼はこの詩軸を100%"真"と思っていた訳ではないと思う。"贋"である可能性もあるだろうが、"真"の方に賭けたのです。吉野秀雄という良寛の研究家から「良寛は、こんな字は書かない」と言われた瞬間、自身の目利きの無さに気付き、全ては自身にあると悟り、作品も自身の未練をも一刀両断にしたのである。
PANTA RHEIⅡに関しても全ては私自身にあるのです。
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2022/7/29 |
油圧パイプ交換 |
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今月13日3GM30を始動点検後、エンジン室内のポート側に大量の油が付着しているのに気づき、原因を探ったところ、どうも油圧パイプ(資料)の接合部辺りからのものであるらしく、再度エンジンを始動してみるとやはりその箇所からオイルが噴出しているのが確認できた。
クルージングの最中であったならば恐らく漏れには気づかずにエンジンオイルが空になり、焼き付けを起こしてエンジンが停止し、海上保安庁のお世話になったか、また、エンジンの積み替えで、数百万円の負担が必要になる事態に陥る可能性もあったと思うが、停泊中の事で、不幸中の幸いであったと言えるかもしれないが..
油圧パイプを交換するとなると、オルタネーター、セルモーター、排気エルボ等の脱着が必要で、とてもエンジンに関して素人の私では対処は無理かと思い横浜ボートサービスの境野様に交換工事を依頼する。プロである。短期間で交換は完了した。
しかしながらこういった満身創痍の艇を維持していくには、ただ海が好きだとかの生半可な気持では勤まらない。シングルセィーラーの私にとっては、すべてが一人であり、今更ながら覚悟というか胆力を持ってというか..
熊沢蕃山の「天地の間に己一人生きて有ると思うべし」の心境ではあるが、次には何が出てくるのだろうか.. 以上
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2022/5/23 |
お隣さん.. |
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五月晴れの昨日、今後のメンテナンスを考えに船へ行き、各所を点検した。喫緊にメンテが必要な箇所は無いが、ドックハウス周りのニス塗や錆が浮いているプロパンのボンベ等は早めに対処しておいた方が良さそうである。
そんな点検の最中にお隣の八郎丸が帰って来た。私も数年前に保田まで乗船させて頂いたことがあるが、流石が北欧フィンランドの船だけにフランスあたりのプロダクションヨットには無い堅牢さがある。この船は会員制で、十数名のメンバーで運営しているが、かなり活動している方である。ほとんどがシニアで、酸いも甘いもかみ分かているだけに和気あいあいとしていて楽しそうである。但し、私には似つかわしくない船かもしれないが..
昨日の八郎丸 |
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2022/5/17 |
船酔いとヨット |
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私は、耳石が剥がれ落ちて起こる 「良性発作性頭位めまい症」 に数年前から悩まされているが、最近治まっていた症状がぶり返し、このところめまいに加え船酔いのような状態が続いている。
あぁ~気持ち悪い.. そんなこんなで今回は船酔いについて記載してみる。
一般的に酔う理由は、船のピッチング(縦揺れ)やローリング(横揺れ)で起こるが、更に波が大きくなり、パンチング(船首が波に突っ込む)やフォーリング(船首が波の山から谷へ急降下)が発生するとほとんどの人間は船酔いから避けて通れないことになる。
特に航海中、時化が何日も続くと疲労や寒さで体力が衰え、更に船酔がきつくなる。嘔吐し続けて胃が空になれば黄色い胃液を吐く。私の場合、胃液もなくなり真っ赤な血を吐いたこともある。揺れ続ける船..
足腰に常に力が入った状態.. デッキで寒さに震え濡れそぼる身体.. 恐怖心も相まった強烈な船酔い.. 一動作が凪の時に比べ数十倍もキツイ。そんな時でも時化を乗り切るために宿帆などを含めて操帆に集中しなければならない。やめて船内でマグロ状態になれば遭難に繋がる..
言わずもがなである。
若いころは海に対する拘りが強く、酔うことは恥と思っていたし、体力の低下にも繋がるので、酔いの初期の段階であれば嘔吐したものを口から出さないよう必死で手で塞ぎ、少し落ち着いた段階で吐かずに飲み込んだりもしていた。まぁそれもまだ酔いの初期だからできることなのだが..
海に出るということは酔いとの戦いでもあるのだ。
上記のように時化が続くと酔いはかなり困難な状況にはなるが、それが毎回ではなく、海に身体が慣れるまでのことで済むこともある。例えばこのHPの中にも記載している
「大阪~横浜廻航」 の時のように一週間程度の航海だったが、2~3日我慢した後は嘘のように酔いが解消し、その後は、快調そのものになった。こうなると天国である。まさに海にいる喜びとその一体感を味わい尽くすことができるようになるのである。
ディセーリングではなく長丁場のクルージングをしようとした場合、必ず時化に遭う。その覚悟と同時に酔いをどう克服するかが、個人差はあるものの海に出る者としての大事な要素の一つであると思う。
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2022/4/26 |
海図なき航海 |
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先ほど知床の事故についてアップロードしてから、過去の まるで "冗談の様な体験" を思い出したので、続けて記載する。
伊豆七島へクルージングへ行った時の事である。クルージングの序盤に、前夜の利島での花火大会を見た後、岸壁に係留していた時である。天候も安定していてプレジャーボートの航行には何ら支障は無く、穏やかな日であった。我々の船もこれから新島か神津へ向かおうかとしていた時に、一人乗りのボートが入港してきた。そそくさと舫を取ったと思ったら、その見知らぬ方が迷うことなくこちらに向かって来る。間違えなくこちらに何か用がある様である。
近づくと開口一番 "東京湾に入るには何度の方向で走れば良いのでしょうか?" えっ.. さすがに聞き直したほどである。よくよく話を聞いてみると海図が無く、方位が分らないとのことである。更にあんぐりである。法定備品として海図は必須なので、無いとは考えられないが、チャートワークの仕方が分らないのか?
もしかしたらチャートワークなるものが有ること自体知らないのか? まぁボートマンやヨットマンも含めあり得る話ではあるのだが..
伊豆七島の何処かの島からの帰りの様だが、よくぞ利島まで来たものだと関心した。恐らく天気が良く各島々を視認出来るので、島伝いに航行して来たのだと思うが、天候が悪かったり、夜になったらどうするつもりだったのだろうか?
三浦半島付近にいると伊豆大島は三原山があって標高が高いので、天候が悪い場合を除き、容易に視認できるが、逆に利島や大島付近から三浦半島や房総半島側を見た場合、標高がそれほど高くは無いので、更に近づかないと陸地の視認が難しい。進む方向が房総沖に大きく間違えればアリューシャン列島方面へ向かうことに..
さすがにその方も恐ろしいと思い、利島港沖で本船を目にして、本当にわざわざ入港し、方位の確認に来たのではないかと想像できる..
東京湾口まで行けば慣れた海域とのことで、丁度城ヶ島を目指す進路をお教えした。そのボート、海図が無いという事は、もしかしたら水路誌等も無いだろうし、暗礁や暗岩等の確認もせずに港に出入港していたのだろうと想像する。
"海図のなき航海" などと言葉遣いすることはあるが、本当に海図がないままの航海をしてしまったら.. 悪い冗談である。 |
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2022/4/26
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痛ましい海難事故 |
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知床半島で23日に観光船の遭難事故が発生した。残念で、特に子供の死は痛ましい限りです。亡くなられた方々のご冥福をお祈りします。
観光船は、ヒグマやら何とかいう滝をより近くで見せる必要から、また、乗客もそれを望むであろうし、みずぎわギリギリまでいかに近づくかであると容易に想像できる。一般的に船は岸から離れることで、その安全性を確保するものであって、逆に近づくという事は、事故の危険性は高まるという事になる。最近、耳当たりの良いエコツーリズムばやりの様で、知床へ行き、エコツアーをしようと思っている方も多いと思うが、もともとこの手のクルーズは危険なものであると認識された方が良いと思う。
その日の未明には、寒冷前線を伴った低気圧が当該地域の北を通過しており、その後、北西寄りの風波が増すことは気象をチェックしていれば想像に難くはないはずである。午後には早めに港に戻って来た漁船もいたとの事で、そのことを裏付けている。(当日06時の天気図)
観光船は、現場海域でウオッチングのためにスピードを落としているだろうから、風波を真横から受けたりした場合、船は不安定となり、一気に岸側に船体を持って行かれたり、凪の時であれば海面は安定しているが、波高が増せば海面の上下動は大きくなり、波の谷の時には暗礁などに衝突したりする危険性も大きくなる。もともと海流や潮流の影響で岸付近の流れは複雑であるが、風波が強まれば返し波の影響も相まって海面はより大きく荒れる。こうして操船が不能に陥れば結果は言わずもがなである。
事故の原因については今後調査が進めば判明すると思うが、ただ、現時点でも言えることは、その責任の全ては、海況を顧みずこの危険極まりないクルーズをし、事故を起こした運航会社並び船長にあるという事だ。
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